「怪奇モノ」と「知的な頭脳戦」が融合した『虚構推理』

幼いころに妖怪にさらわれ、彼らの世界のいざこざを仲裁する相談役として生きる17歳の岩永琴子。そんな彼女が恋をしたのは、同じ病院に通っていた22歳の男性。とある事情で、妖怪の力をその身に取り入れ、不老不死となってしまった桜川九郎だった。

ともに怪異と接点を持つ二人はやがて、鉄骨の下敷きとなって亡くなったアイドルの亡霊を巡る、奇怪な事件へと巻き込まれていく。

ということで、少年マガジンRで連載中の異色の怪奇ミステリ『虚構推理』を紹介します!

 

みどころ

設定は異色だけどミステリに分類される作品なので、説明がものすごく難しい! けれど、すごく面白い!

肝のネタバレを避けながら、なんとか面白さをお伝えできないものかと、ただいま絶賛悶々中。まずは登場人物から見ていきましょう。

① 主な登場人物

・岩永琴子

幼少の頃に妖怪にさらわれた彼女は、「知恵の神」に祭り上げられ、妖怪たちのいざこざを仲裁する役割に。その際、片目片足を失っているのですが、その代わりに妖怪たちの異能を借りることができるとあって、「悪い交換じゃあないですね」と平然としたご様子。

その上、一目惚れした桜川九郎が恋人と破局したと知るや、「岩永琴子といいます。17歳です。活きがいいです。結婚を前提に付き合ってください」と急速アプローチするような、ハチャメチャな性格です。

九郎は煙たがっていますが、物腰は丁寧で、サバサバとして、計算高いけど感情に真っ直ぐで、生意気なんだけどどことなく憎めない、そんな琴子です。

・桜川九郎

一方、大学生の九郎は、物静かでどことなく陰のある男性。それもそのはず、複雑な事情で「不老不死」と「未来予知」の能力を身につけることとなり、妖怪からも恐れられるような存在に。それが原因で恋人とも破局してしまいます。

琴子からのアプローチは基本的に素知らぬフリですが、どこかほっておけないのか、はたまた「怪異」という接点があるからか、完全に拒絶するわけでもなく。破天荒な琴子に振り回されている感じです。

② 元アイドルの亡霊の謎

そんな二人が巻き込まれるのが、数カ月前に鉄骨に下敷きとなったアイドル・七瀬かりんが亡霊となって現れる怪事件。彼女は、華奢な体に派手なアイドル衣装をまとい、自身を潰した鉄骨を振り回して、夜な夜な一般市民を襲う。そんな姿から「鋼人七瀬」と呼ばれ、少しずつ世間の噂に上がるようになっていきます。

なぜ、彼女は亡霊となって人を襲うのか。この世にとどめる想いは何なのか。調査を進めるなか、彼女が単なる亡霊ではなく、より複雑で厄介な存在であることが分かってきます。

昔、こんな話が流行りました。

「マスクをした顔色の悪い女性に話しかけられて何だか怖かった」。それだけだと聞いた方はあまりピンとこないようなので、こう付け足します。「よく見たら、マスクの下の口が耳まで避けていて、怖くなって逃げたらものすごい勢いで追いかけられた」。聞いた方は「えー、それは怖い」となります。その話がクチコミで伝わって、話に尾ひれがついて、いつしか共通イメージが確立されていきます。

そう「口裂け女」。

それは、いわゆる人々の「想像力の産物」といえるものでした。何千、何万、何十万という人の頭の中に根付くことで、少しずつ血肉が与えられ、それを信じる者にとっては実体となる。

琴子は「鋼人七瀬」もそれと同じ存在だと見破ります。問題なのは「想像力の産物」なので、たとえ除霊ができたとしても、それによって消し去ることはできなということ。

では、どうしたら退治できるのか。

答えは「本当は実在しないんだ」という認識を植え付けること。そのために人々が納得するような合理的な別のストーリーを提示してあげること。そうすれば、想像力の産物は力を失うはず、と琴子は見破ります。

③ 「虚構推理」が開幕

で、ここから本番なんですが、どんなストーリーを提示してあげれば、世間の人々を納得させられるでしょうか。状況証拠や目撃証言をこつこつと積み上げてつくられた「鋼人七瀬」のイメージ、その集団意識はそう簡単には変えられません。

そこで琴子が取った手段が「虚構」を積み上げることです。

そこから始まる論理戦は、まるで『ダンガンロンパ』のように緊迫感たっぷり。あるいは『デスノート』のように知的で、瞬く間に惹き込まれていきます。

いわゆる「怪奇ミステリ」といったジャンルだと思うんですけど、そこに少年漫画らしく恋愛やバトル的な味付けもしてあって。元々は、城平京『虚構推理』という小説が原作らしいので、そこでしっかり設定が練り込まれていたのでしょうね。見事。

例えば、八神月とLの対決が好きという人は、絶対楽しめると思います。

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