「優柔不断」と「ヤキモチ」がやがて感動の嵐となる『めぞん一刻』

変な住人ばかりの一刻館に住む浪人生の五代裕作は、新たな管理人としてやってきた未亡人の音無響子に一目惚れをした。そんな彼の気持ちを知りながらも亡夫への想いを断ち切れない響子は、素知らぬ顔ではぐらかすばかり。そんな中、テニススクールのコーチである三鷹瞬にも惚れられて——!?

優柔不断な裕作、プレイボーイな三鷹、嫉妬深くて鈍感な響子の想いが複雑に絡まり、同じ場所をいったりきたりの漫画史上最もながーい三角関係が幕を開けるのだった。

ということで80年代ラブコメの金字塔『めぞん一刻』を紹介します!

みどころ

① 遅々として進まない三角関係(笑)

善良で心優しいけど優柔不断、トラブルに巻き込まれやすい裕作。未亡人で裕作の2歳年上、亡夫を忘れられないため、新しい恋愛に踏み込めない響子。そして、ハンサム・学歴・収入の三拍子そろったテニスコーチの三鷹瞬。(高橋先生らしく)からっとした雰囲気の三角関係ものなんですが、ドタバタ劇が繰り広げられる中、とにかく表面上は何年も関係が進展しません(笑)。

でも、内面的には、結構早い段階で裕作に軍配が上がるんですね。んで、裕作と響子がちょっとだけ素直になれば、あっという間に丸く収まりそうなのに、周辺キャラの巻き起こすトラブルと、裕作の「優柔不断さ」に響子の「意地っ張り」なところが重なって、なかなか収まらない。

それでも、裕作が他の女性にアプローチされるとあからさまに嫉妬する響子の気持ちや、そこから少しずつ裕作に傾いていく心の変化、そうやって三歩進んだと思ったらケンカしてまた二歩下がる、振り子のように揺れる心理模様を丁寧に丁寧に描いているのが最大の見どころ。このもどかしさがたまりません。

② 終盤からエピローグへの流れ

そして、この遅々として進まない関係が、終盤まるで堰を切ったように急展開し、エピローグへと流れていきます。これまでなかなか進展しないとはいえ、お互いにケンカしたり仲直りしたりして少しずつ距離が縮まるエピソードを、丁寧に丁寧に積み上げてきたからこそ、この最後の大団円へと向かう流れが本当に感動的なんです。まるで、あまりにも大変だった大きなパズルがようやく完成したような感動、と言いますか。

最終巻は本当、神がかっています。

③「管理人さん」音無響子のキャラ

でも、それ以上に何より秀逸なのが、

若くて美人、スタイル抜群、「管理人さん」の名に恥じぬ家事の腕と住人たちを世話する健気さ、そんな正統派ヒロインを思わせておいて、実は鈍感で嫉妬深くて、意地っ張りで、すぐにカッとなる怖い一面もある、なんだかとっても人間くさい響子さんのキャラ。

このキャラでなかったら、果たしてここまで名作足り得たでしょうかと思うくらい、魅力的ですね。

気の強い一面も(出典『めぞん一刻』)

二人の男性にアプローチされながらも態度をはっきりさせない響子さん。そんな彼女の態度も三角関係が進展しない原因になっていて、彼女自身にも色々問題があるわけです。

そんな彼女に、別のキャラが「いつまでぬるま湯に浸っているんだい」という。あるいは、嫉妬深いところに対して「ろくに手も握らせない男のことで、泣くわ、わめくわ、どうなってんの。あんたみたいな面倒くさい女から男とるほど、あたし物好きじゃないわよ。バカ」という。

これがエピローグへ向かう大きなきっかけに
(出典『めぞん一刻』)

このセリフが本当に素晴らしい。これを言ったのが、一刻館に一緒に住む仲の良い住人たちで、愛ゆえの言葉であるところが本当に素晴らしいのです。いやあ、屈指の名シーンだ。

なんというか、響子さんは決して可愛らしいだけのキャラではなくて、問題も多いのだけど、嫉妬するところは可愛らしく描かれていて、その清濁のバランスが最後まで破綻することなく絶妙に保たれているところが、さすが高橋作品なんですよね。

ちなみに、音無響子=音が無いのに響く子という名前は、

サイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」と同じ構造の矛盾語法であり、本人の矛盾した行動を象徴している。(出典:ウィキペディア

んだそう。面白いですね。

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