戦に明け暮れたヴァイキングの罪滅ぼし(実話)『ヴィンランド・サガ』

幼いころにヴァイキングに父親を殺されたトルフィンは、仇のアシェラッドへの復讐を誓い、あえてアシェラッド一味に取り入ることに。

少年ながら卓越した武技で戦場を生き抜く少年・トルフィン。しかし、仇のアシェラッドが他の人物に殺されてしまう。

ただ仇討ちだけを生きる目標にしてきたトルフィンは生気を失い、奴隷へと身を落とすことに。数多の戦場で数え切れない人を殺してきたトルフィンは毎晩自責の念で苦しんでいた。

やがて、奴隷の身から解放されたトルフィンは、今までの罪滅ぼしのために、争いのない平和な地「ヴィンランド」を目指し、自らの手で開拓することを決意する。

しかし、それは果てしなき過酷な旅の始まりだった。

ヴァイキング(出典『ヴィンランド・サガ』)

というわけで『ヴィンランド・サガ』を紹介します!

みどころ

ヴァイキングと時代背景

11世紀初頭にヨーロッパ近郊の海という海で暴れまわった海賊・ヴァイキング。この時代、ヴァイキングを主力としたデンマークは、バルト三国やイギリスの大半を支配下に置いています。

ヴァイキングは男として生まれたら戦って死ぬのが常識で、勇敢に戦った者は死後、北欧神話の主神オーディンの住まう「ヴァルハラ」に行けると信じ、それを最上の名誉と考えていました。通常は交易を生業としていましたが、周辺諸国への侵略も凄まじく、奴隷制度や海で生きる独特の文化を育んでいます。

勇敢であることが常識(出典『ヴィンランド・サガ』)

本作ではそうした文化が、その武力が、あるいは生々しい戦場の様子が余すことなく描かれています。

色濃い奴隷制度(出典『ヴィンランド・サガ』)

実在の人物・トルフィン

そんな中、登場人物は基本的に実在した者で、実話をもとに、マンガ的な加工を施した作品となっています。

特に主人公のトルフィンはアイスランドで生まれ、ヴァイキングとして戦場を渡り歩きながらも、青年期に殺戮を後悔。罪滅ぼしのためにヴィンランド(アメリカ大陸)に旅をして開拓した、ソルフィン・カルルセフニ・ソルザルソンという人物がモチーフになっています。

ソルフィン・カルルセフニ・ソルザルソン
(出典『ウィキペディア』)

彼の生まれたアイスランドは氷の大地。さらにヴァイキングの略奪もあって、人々はただ生き抜くだけが精一杯の時代。彼はそんな人たちが幸せになれる土地を求めて、伝説のヴィンランドへと旅立ちます。実際に1010年頃に移民船団を率いて航海に出たと伝わっており、コロンブスよりも約500年も早くアメリカ大陸を発見した人物なんです。

そのトルフィンが、幼少の頃に父親を殺され、仇討ちだけを生きがいに海賊となり、殺戮を繰り返し、生きる目的を失った絶望の中で奴隷に身を落とし、やがて理想郷を求めて航海に発つ。その心の葛藤がこれでもかというくらい描かれています。その迫力たるや、胸をわしづかみにされるよう。

そんな歴史的見方がとっても興味深い本作です。

ヴィンランドの開拓を決意するトルフィン
(出典『ヴィンランド・サガ』)

アクションシーンは迫力満点

一方、アクション漫画とみても素晴らしく、身軽なトルフィンが大男と互角に立ち回ったり、あるいは巨大なクマと戦ったりするシーンは迫力満点。動きのスピード、リアルさで言ったら、その分野の頂点にあるだろう『鉄拳チンミ』にも負けていません。分かるかな(笑)

殺戮に明け暮れた少年時代
(出典『ヴィンランド・サガ』)

アクション漫画として上質なうえに、実話としての歴史的背景も緻密に描かれているときたら、そりゃあページを捲る手が止まらないわけです。

ヴァイキングの歴史は日本ではあまり有名ではないので、そういった意味でも貴重な作品。

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