大戦勃発!圧倒的兵力差を知略でひっくり返す『将国のアルタイル』

ルメリアナ大陸を二分する勢力、騎馬民族で構成されるトルキエ将国と、圧倒的武力を誇るバルトライン帝国。

ある日、帝国大臣がトルキエの矢で暗殺される。申し開きがないのなら開戦も辞さないと迫る帝国に、トルキエは強硬派と慎重派で真っ二つに割れてしまう。ただ一人、事の顛末に疑問を抱いたトルキエのマムフート将軍は、暗殺そのものが侵略を望む帝国が仕組んだ自作自演であったことを見抜く。

真相を暴いたことで事態は収束したかに見えたが、これをきっかけに、大陸全土を巻き込んだ大戦へと転がっていってしまう。

強大な武力によって他国を侵略する帝国に対して、マムフートは遠大な知略によって戦争回避に奔走する。その類まれなる頭脳は、この圧倒的不利な状況をひっくり返せるのか――?

ということで『将国のアルタイル』を紹介します。

みどころ

① 経済・文化まで緻密に描かれた世界観

本作には、トルキエ将国とバルトライン帝国のほかにも、様々な国家が登場します。そのどれもが経済・文化まで緻密に描かれています。作者のカトウコトノさんはトルコ史をご専攻されていたそうで、なるほど納得。

一例を挙げると、トルキエは「十三人の将軍(ヴェズイール)」が統治し、国政のすべては週3日の「将軍会議(デイワーン)」にて決定される。国土のほとんどを砂漠と草原に覆われながらも、世界の富の9割がそこを通るといわれる交通の要衝に位置することから、商業国家として栄えています。

一方、帝国はかつてバルト地方の国家が、ライン地方に乱立した諸国を併合し、バルトライン帝国となりました。ライン地方は常に搾取される立場にあり、有事の際の尖兵とされるなど、国家そのものに大きなゆがみを抱えています。

そのほかにも「海上都市国家」や芸術を重んじる「花の都」、鎖国して交易を放棄し続けたため、緩やかに滅びつつある「北方山岳国家」など、多くの国家が登場しますが、いずれも創られたとは思えないほどリアルで、それぞれが複雑な思惑で絡み合っています。この舞台設定がまず圧巻です。

海の都ヴェネディックの施設(出典『将国のアルタイル』)

② 帝国との兵力差をひっくり返す華麗な知略

同じように、戦の描き方も非常に緻密かつ遠大です。

当初、マムフートは帝国との戦争そのものを回避しようとします。そのためには近隣諸国と同盟を結び、容易に手を出せない状況を作る。さらに商業国家としての経済力を使って、戦争を延期に持ち込みます。その方法がまるで「風が吹けば桶屋が儲かる」のように遠大で、脱帽してしまうのです。

圧倒的武力に知略で挑むマムフート(出典『将国のアルタイル』)

例えば、帝国の侵攻を遅らせるために、ガラス製品を大量に取引します。ガラス製品を出荷するためには、箱に詰める際の緩衝材が必要となります。緩衝材にはワラを使うため、市場から小麦をかっさらい、結果的に帝国の兵糧を減らすことに成功するのです。

一方、戦闘になってからも、両軍さまざまな戦術を駆使します。それらもよく練られていて、作者は兵法にお詳しいのかな、あるいは軍師の経験がおありなのかな(笑)と思うぐらい、「戦っている感」がよく出ています。

つまり、練り込まれた「世界観」と「戦略・戦術」こそが、この物語に血を通わせているのではないでしょうか。

緻密な戦術が戦場に臨場感を生み出す(出典『将国のアルタイル』)
海戦の様子も臨場感たっぷりで描かれる(出典『将国のアルタイル』)

③ 繊細なタッチで描かれるキャラ

ちょっと回りくどい説明になっちゃったので、お口直しを。繊細なタッチで描かれるキャラの可愛らしさも本作の大きな魅力なんです(^ー^*)

キャラの可愛らしさも魅力(出典『将国のアルタイル』)

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