眠ると記憶がリセットされる忘却探偵『掟上今日子の備忘録』

あらゆる事件に巻き込まれ、常に犯人として疑われてしまう青年・隠館厄介。助けを求めたのは名探偵・掟上今日子。どんな事件も一日で解決する「最速の探偵」にして、記憶が一日ごとにリセットされてしまう「忘却探偵」である。次々と訪れる難解な事件、一日という時限のハンディキャップをはね返して、今日も華麗な推理が冴え渡る!!

出典『掟上今日子の備忘録』

ということで『掟上今日子の備忘録』を紹介します。西尾維新さんの小説が原作。2015年にはガッキー主演でドラマ化もされました。そのコミカライズ版となります。記憶が毎日リセットされて、どうやって事件を推理するのか――? ちなみに原作もドラマも未視聴でのレビューとなります。

みどころ

① 今日子さんの掴みどころ

記憶が一日ごとにリセットされるなんて、探偵という職業には致命的!!

と思いきや、今日子さんはどこ吹く風。「記憶力には自信があります。一日以内なら」とやけに自信満々です。もしも一日が過ぎて記憶がリセットされてしまった場合は、忘れてはいけないことが体にマジックでメモ書きされています。

出典『掟上今日子の備忘録』

……いや、それだけじゃ不十分でしょ!?(笑)と思ったりもしますが、実際、このキャラが最大の魅力でして、今日子さんったら、にこやかに笑ってたと思ったら、急にピリッと緊張感を発したり、次の瞬間オトボケキャラに戻ったり、コロコロと表情を変えます。この底の見えない感じに惹き込まれてしまうみたいです。

コロコロと変わる表情(出典『掟上今日子の備忘録』)

そうやって今日子さんの掴みどころを探っているうちに、その頭の中ではすでに事件が解決していて、急展開の謎解きに「え?え?」となったり、「最速の探偵」の名は伊達じゃありません。

そしてこう言いながら微笑んだりします。

記憶の価値と、それが失われる恐怖は誰よりも知っていますから。
たぶん毎日のように実感しています。
(掟上今日子の備忘録 1巻より)

漫画のキャラとして最高に魅力的です。

出典『掟上今日子の備忘録』

② ちょっと切ない事件の真相

「探偵」というと「ミステリ」です。じゃあ、「ミステリ」としてどうかというと、論理やトリックを楽しむ本格派ではありません。あくまで今日子さんが振るタクトに合わせてサクサクと進んでいく話を、その軽快さを楽しむ作品です。ただ、事件の真相はちょっぴり切なかったりして読後感が妙に心地よいのです。

特に2巻のミステリ界の重鎮が遺した未発表作にまつわる話。百冊に及ぶ著作の中でノンシリーズの作品7作にのみひっそりと同じわき役が登場していて、

物語のわき役として大きなトラブルに見舞われることもなく、
友人を作り、結婚し、働き、家庭を持ち、子を育て――
45年にわたり作品の中で生きている。
(掟上今日子の備忘録 2巻より)

それが実は、過去に自殺した著者にとって大切な人で、せめて著作の中で幸せに生き続けられるように。

という想いからだった――って素敵すぎませんか? 気軽に読めてちょっぴり切ない漫画を探している人にオススメ!

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