透明感たっぷりの年の差ラブストーリー『恋は雨上がりのように』

女子高生の橘あきらが恋をしたのは、バイト先のファミレスの冴えない店長(45)だった。

積極的に思いを告げるあきら。年の差を気にする店長。足のケガで陸上を諦めざるをえず、凍り付いたあきらの心が、恋をすることで少しずつ溶けていく。

落ち着いた雰囲気で繰り広げられる片恋の物語。

出典『恋は雨上がりのように』

ということで『恋は雨上がりのように』を紹介します。マンガ大賞2016で7位入賞作。透明感のあるラブストーリーとなっています!

みどころ

① 橘あきらの人柄

物語は、あきらの恋心が明らかになるところから始まります。相手はバイト先のファミレスの店長(45)。あきらは最初ぶっきらぼうで少し冷たい印象の女子高生として描かれています。そのせいで店長にも「睨まれている」と勘違いされたり。このまま、なかなか気づいてもらえない恋心を描くのかと思いきや、意外と早い段階で「好き」と伝えてしまいます。

その後はグイグイと積極的にアピールするあきら。実は情熱的な女性なんですね。冷たい印象だったのは、足のケガで陸上を諦めなきゃいけなかったことが心にのしかかっていたからでした。その凍り付いた心が、恋をすることで少しずつ柔らかく溶けだしていきます。すると、ひょんなときに女子高生らしい一面が顔をのぞかせる。

例えば、小学生の間ではやっている「恋が叶う」と噂のキーホルダーをどうしても欲しがったり、店長と話がしたくてメールしたいのになかなか切り出せなかったり。「ああ、内面は普通の女子高生なんだなあ」と、このあたりでキャラクターに俄然愛着が湧いてきます。

橘あきら(出典『恋は雨上がりのように』)

② 店長の人柄

一方、店長はしょっちゅうチャックが開けっ放しだったり、大きな音でくしゃみをしたり、どう見ても冴えない中年男性。ただ、愛想がいい。読書家でもあることから、あまり不潔な感じがしません。また、足のケガで落ち込んでいたあきらにコーヒーをサービスするシーンがあります。あきらが恋に落ちる理由となるのですが、そんなところからも店長の人柄の良さがうかがえます。

正直、読み始めの時は「なぜ、こんな美人の女子高生が中年男性に恋に落ちたのか。その理由次第だなあ」と思っていたんですが、ふたを開けてみれば、なるほどこれなら全然不自然じゃないっと。そこからは全体に漂う透明感に一気に引き込まれていきました。

店長(出典『恋は雨上がりのように』)

③ 透明感ある心理描写

そう、透明感! 透明感があるんです!

例えば、あきらは心が動くとき、その対象をじっと見つめる癖があります。いちいち説明を加えないため、読者には想像の余地がある。行間から、多くの感情が伝わってくる。

ほんの一例ですが、相手を見つめて、少し俯いて、お辞儀して「お疲れさまでした」。この3コマからも溢れんばかりの思いを感じるのです。また、光や音、触感(転びそうになって腰を支えられるシーンなど)といった五感による心理描写も豊富で、それらが透き通ったみずみずしさを生み出しています。

「女子高生と中年の恋愛」というと、どことなく感じるいやらしさが、本作に限ってはまったく感じず、素直にドキドキできる。それが本作の大きな魅力となっています。

こういう心理描写が抜群!(出典『恋は雨上がりのように』)

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