宇宙回収船を舞台に人の夢や想いが交錯する『プラネテス』

2074年――月や火星に基地が造られ、宇宙が身近になった時代。宇宙空間には多くの宇宙ゴミ「デブリ」が漂うようになっていた。

星野八郎太(ハチマキ)はデブリを回収する宇宙の掃除屋。仕事は好きじゃないけれど、自分の宇宙船を持つ夢のため、せっせと仕事に励んでいた。

そんなある日、木星往還船計画の報せが訪れる。誰も行ったことのない遠くへ、未開の道を切り拓くため、資源を持ち帰る――ハチマキは計画志願を決意する。

ところが仕事中の事故で宇宙飛行士としては致命的な心の傷を負ってしまったハチマキ。そんな彼の心を救ったのは、仲間の存在と「この世に宇宙の一部じゃないものなんてなくて、独りじゃないから生きられる」という気づきだった。

やがて船は未踏の木星へとたどり着く。その時、ハチマキの心中に去来する思いは――?

出典『プラネテス』

ということで『プラネテス』を紹介します。宇宙を舞台にした深遠な物語ながら、全4巻で完結するため、手に取りやすい一冊ですね!

みどころ

① 未来宇宙のリアルな描写

デブリは秒速8km近い速度で地球周回軌道上を飛翔しているので、もしも宇宙船とぶつかろうものならば大惨事に。衝突がさらに細かいデブリを生み、それが次々と連鎖して、宇宙がデブリに覆いつくされてしまう「ケスラー・シンドローム」も招きかねません。

ハチマキは仲間とともにオンボロ船に乗り、宇宙を掃除するデブリ回収業者。補給も月面都市で行うため、地球(おか)には長いこと帰っていません。科学は圧倒的に発達していて、自分勝手に資源を搾取するための宇宙開拓に反対するテロリストも存在するけれど、そこで生きる一人ひとりの思いは現代と変わらず、同じように考えたり、悩んだりします。

その舞台設定がとっても雰囲気があってGOODです。

出典『プラネテス』

② 血の通った人間ドラマ

宇宙や進歩した科学の描写が細かい本作ですが、メインテーマはそこで生きる人たちの生き様です。

出典『プラネテス』

デブリの衝突事故で妻を亡くしたユーリ。月で生まれ育って海に憧れる月面人のノノ。息子との付き合い方に悩むフィー。愛情を見過ごすことのできないタナベ。彼らのさまざまな思いが印象的なエピソードで描かれます。その思いに触れて少しずつ変わっていくハチマキ。そうして「独りじゃないから生きられる」という考えに行き着く。

出典『プラネテス』

元々は自分の宇宙船のためだけに好きでもない仕事をしていたハチマキ。でも、宇宙船を手に入れるのはものすごく大変――、

だからオレはそれ以外のことは一切しないと決めた。
それ以外のことを考えるのもやめようと思った。

でも、愛し合うことだけがどうしてもやめられない。
オレはこの力の使い方をもっとうまくなりたいんだ。

だから、地球に帰ったらまたデブリ屋をやろうと思う。

そう演説する、ラストシーンは感動的です。

2002年度星雲賞コミック部門受賞。2003年にはNHKでアニメ放送開始。そのアニメも2005年度星雲賞メディア部門受賞しました。『宇宙兄弟』のように宇宙を舞台にした人間ドラマに興味ある方にオススメ!

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