錬金術の禁忌で肉体を失った兄弟が戦う『鋼の錬金術師』

エドワード・エルリック(兄)とアルフォンス(弟)、若き錬金術師の兄弟は、幼いころに病気で失った母を蘇らせるため、禁忌とされる人体錬成を試みる。だが錬成は失敗し、エドワードは自身の左足と弟アルフォンスを失ってしまう。かげがえのない弟をこの世に引き留めるため、自身の右腕を代価とすることで、かろうじて弟の魂を鎧に錬成・定着させることに成功した。それでも失ったものは大きすぎて……。

出典『鋼の錬金術師』

その後、国家錬金術師の資格を取り「鋼の錬金術師」の異名を持つようになったエドワードとアルフォンスは、失った肉体を取り戻すため「賢者の石」と呼ばれる至宝を求めて旅を続けていた。

やがて背後でうごめく謎の組織や、過去に国家錬金術師が投入された戦争の因縁も絡み、物語は予想のつかない事態へと急転していくのだった――。

というわけで『鋼の錬金術師』を紹介します!

みどころ

① 錬金術と犯してはならない禁忌

そもそも錬金術とは何でしょうか。

簡単に言うと、化学的手段により卑金属から金を作り出す試み。さらにそれ以外の物質や、人間の肉体や魂をも対象とし、それらをより完全な存在に錬成する試みを指します。

実際に古代ギリシアで概念が生まれ、イスラム社会やヨーロッパにも伝わった考え方です。現実的にはすでに否定された考え方ですが、近代化学の礎になったと考えられます。

「鋼の錬金術師」ではこの錬金術が実在し、瞬時に金属から武器を作り出したり、土から土塁を作り出しています。便利さでは、壊れたラジオを錬成して瞬く間に修理することだってできちゃいます。また、大量の石炭から金を作り出している様子も描かれていますが、錬金術で「金」を作ることは法律で禁止されているため、これは内緒の話です(笑)

出典『鋼の錬金術師』

まるで、あらゆるものを作り出せそうな錬金術ですが、1つだけ「等価交換」というルールに縛られています。例えば、質量が1の物からは同じく1の物しか、あるいは水の性質のものからは同じく水属性の物しか作り出せません。もし0から1を作り出そうとするならば、代わりにそれと同等の代価を差し出す必要があるってことですね。

幼い兄弟は死んだ母親を錬金術で錬成しようとしました。それは禁忌中の禁忌。結果が現在の二人の姿というわけです。

② よく練られた物語のプロット

そんな二人は「賢者の石」を見つけ出すために、果てなき旅を続けます。賢者の石は人間を不老不死にすることができる究極の物質と考えられており、兄弟はこれにより失った肉体を取り戻そうとしたのです。

旅の途中、兄弟はさまざまな人と出会います。困難にもぶつかります。そのたびに、信念や仲間の助けを得て進んでいきます。それでもたまに道に迷い、自信を失うこともあり、その葛藤などが濃密な人間ドラマとして描かれます。

兄弟もたまに道に迷い、自信を失うことも(出典『鋼の錬金術師』)

賢者の石の探索もなかなかうまくいきません。手掛かりを探っては次の謎にぶつかり、人との交流の中で次の手掛かりが見つかる。そうやってテンポよく物語が進んでいきます。やがて、大きな謎や裏切りといった、起承転結の大きな「転」が訪れる。

果たして兄弟は、元通りの体に戻れるのか――。

よく本作は「過不足なくギュッと締まったまま結末に至る」と評価されますが、ほんとにその通り。登場人物の数、その出現するタイミング、伏線と回収、魅力的な謎と驚きの真相、流れるようなバトルシーン、そしてたまにホロリとくる人間ドラマ。どれもこれも無駄がなく、スムーズに話が進むため、読み始めると止まらなくなる作品となっています。

ホロリとくるようなシーンも(出典『鋼の錬金術師』)

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